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朱門 優(しゅもん ゆう)
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物書き
サークル:
無口な魔女たち
誕生日:
09/03
出身地:
埼玉生まれの埼玉育ち
趣味:
資料集め・散歩
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 ──今にも空が落ちてきそうだった。

 大気に溶け込んだ妖雲は、目には見えずとも──
 不可視のまま辺り一帯を縫うように包み、閉ざしていた。
「なん、だと……」
 その妖雲の発生源である面妖は、番人として無双を称えられた男をすら唸らせる。
 この街の“王城”の守護を任ぜられたのは、確かにその姓より受けた任でもあったが、その姓の中で抜きん出た“雄”として認められたのは、紛れもない実力に裏付けられたものであったというのに。
「おい、こいつ……」
 ──番(つがい)の反応も同じく。
 すでに無数の軌跡をなぞり上げた自慢の双刀も、もはや見る影もなかった。
「ほほほ……姫が女子だからと手を緩めるか? 存外、君子どもよな」
 奸智を誇りとする冷笑が似合うは、やはりあやかしより他になく。
「馬鹿言え。てめぇのどこが女だって?」
 それでも呑まれなかった美丈夫の胆力は流石という他なかったが、頬を流れる冷や汗までは止められない。
 隠し切れない。

 だからあやかしは、あえて嗤うのだ。

「蒐集家よ」
 と。隻眼の剣士を睨(ね)めつける。
「一つきりなれど、良き眼よ。良き選定よ。姫は長らく刀剣の産地におったが、御主の腰の持ち物は、そこでもなかなかお目にかかれぬ一品揃い」
 すでに鉄塊としか呼べぬ刀を、舐め上げるように妖しく見つめる目が細まる。
「だが姫は討てぬ。技量も霊具も意味をなさぬ──姫を討てるは、かの咒いを吠えし一刀(きみ)のみ」
「なるほどな。あんた……特定の条件下に縛られてるのか」
「それがあやかしというものよ」

“彼女は討てない”。
 皮肉な事に、それは彼女が今まさに護ろうとしている者たちが過去に証明している。

「残念じゃ、炎者どもよ。こんな姫の為に泣いてくれた者がおる。こんな魍魎の為に、いつ終わるとも知れぬ浄化の旅に付き合うてくれた者がおる。ああ、残念じゃ残念じゃ……それすら知らなんだら、そなたらの所業如き見逃そうとも構わなんだのに」
 昔の自分であればそうしていただろう。
 虐げられ、裏切られ、あの冷たい雨に打たれて一度は死んだ。
 ただ無垢に信じて信じ続けた果てに待っていたのは、喉をかきむしるような飢餓と絶望。
 ──通りがかったあの気紛れな術師が、やはり気紛れに自分をこの世へと呼び起こした時。
 彼女は、世界のすべてを恨んでいた。

「あの優しき愚か者たちが僅かでも哀しむと思うと、看過もようせんわ」

 だから、やはり──今にも空が落ちてきそうだった。
 入れ物(からだ)を与えられ、術師となり、腐った大地を舐めるような堕落の果てに、あやかしと成り果てた。
 その自分が、こんなにも胸が苦しいまでに、護りたい誰かがいるなどと。

 立ち上る妖雲が彼女の“場”を形成する。
 過去、この結界を突破したのは、北の偉大なる女神ただ一柱。
 炎に縛られた異能者ごときに何ができようか。
 彼らはもはや逃れられない。
 外界からは近付けぬ嵐が一陣、ただ巻き起こっているように見えるのみ。

 今、見上げる空は──彼女の支配下にあった。

 けれど、彼女は気付いていなかった。
「あやかしと言ったな?」
 黙していた長柄の偉丈夫が、冷笑に不敵な笑みを返した。
「生憎、私にはそうは見えぬ。私には、この街に染み込んだ汚水どもと同じにしか見えぬのだ」
「ほう?」
「御主はあやかしではない。ただの魔術師だ」
 そう、彼女は気付いていなかったのだ。
 浄化の旅は、数百、数千年──どれほどの時がかかるか知れぬとされていたはずではなかったか。
 ならば何故、彼女は今ここにいる?

 彼女はすでに、あやかしではなくなりかけていたのだ。

 旅の共になってくれた娘のお陰か?
 彼女の為に涙を流した女神のお陰か?
 彼女を討つ為だけに在った一口(ひとふり)の刀のもたらした傷のお陰か?
 あの日、あの時、あの場にいてくれたすべての者たちのお陰か?

 それとも──心などとうに暗い昏い腐敗の闇の底に捨ててきたと、彼女が思い込んでいただけだったのか?

「そういう事かよ」
 双刀を失っていた美丈夫は、己が右眸を覆い隠す眼帯に手をかけた。
「なら、幾らでもやりようはあるってもんよ。数百年の因縁ってやつでね。こう見えても俺ら、魔術師退治の専門家だからな」
「御主、その瞳……」
「誰が見えねえって言ったよ──?」

.....To Be Continued





という

とまあ、今年も前日に慌てて書いたわけなんですけどね。
成長ないですね、自分。ホントに。
ただ折角なんで、書く機会のないまま封印された設定を使ってみました。

今年も方々にごめんなさい。




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新年度
とも@
なるほどー嘘ですかー!!!
で、続きは!?続きは!!!?(何

コホンッ
いや、毎度毎度吸い込まれるように読み返してしまいます。
難単語の意味もですが、やはり文脈の流れが好きなんでしょうなぁ・・・
ぁ、これは嘘ではありませんよ!?
2008/04/01(Tue)12:23:43 編集
Re:新年度
朱門 優(しゅもん ゆう)
嬉しいお言葉をありがとうございます。
続きはですね、来年に(言いかけて自分の首を絞めている事に気付いた
来年に……書けたらいいなぁ……。
2008/04/01(Tue) 22:11
無題
パーム・パーム
続きキター!
最高に楽しませて頂きました、もう本当にゲーム化してほしいぐらいです
しかし欲を言えば何故聖女様と殿下とチッセがいらっしゃらないのかと小一時間問い詰(ryww
2008/04/02(Wed)12:44:36 編集
Re:無題
朱門 優(しゅもん ゆう)
ありがとうございます!

>しかし欲を言えば何故聖女様と殿下とチッセがいらっしゃらないのかと小一時間問い詰(ryww

すみません。
その小一時間があれば書けた……かもしれない。いや無理か。残り二戦分の続きは。
殿下とチッセは僕自身激ラブなので是非書きたいのですが、ユーディットに戦闘能力はないので、すみっこで「どうせにいやが勝つのに阿呆どもが」とか言ってる姿しか想像できない。
2008/04/02(Wed) 23:10
無題
NEW南部
全部読ませて頂きました。5回ほど読み直しました。
続と書かれていたので前回の分も読ませて頂きました。
普段辞書など引かない私ですが、久しぶりに使用しました。

つまり、なにが言いたいかというと・・・

凄く面白かったです!!
最後の美丈夫が持ち直す所が、熱く来ました。
2008/04/03(Thu)00:09:13 編集
Re:無題
朱門 優(しゅもん ゆう)
ありがとうございます!
なんだか後に引けない感じになってきて、ひしひしと後悔の念が募ってきておりますが、お楽しみいただけたのなら幸いです。

>最後の美丈夫が持ち直す所が、熱く来ました。

あのにーちゃんがお気に入りなので、なんだかノリノリで書いていました。
2008/04/03(Thu) 00:44
無題
せん
 嘘 でしたか…それでも楽しく読ませて頂きました!
ありがとうございます~
2008/04/04(Fri)21:12:07 編集
Re:無題
朱門 優(しゅもん ゆう)
すみませんでしたっ!
そしてありがとうございます!
2008/04/06(Sun) 22:58
お邪魔します
aki
 こんばんは。お初に書き込ませていただきます。

 エイプリルフールのお遊び、大変興味深く読ませていただきました。注目点は……やはり、アレですよ、「彼女」です。
 先生、せっかく巧妙に張り巡らされた伏線を回収することなく去ってしまわれたでしょ? それがファンとしては残念というかなんというか。……て、今さらなことをすみません。

 あれからもう4年半なのですねえ……。
 まあそんなわけで、「彼女」と「娘御」の関係について色々と妄想をたくましくしております。今回のこのお話は……やっぱり嘘なんですね? さて。どうとらえますか。

 ともあれ、楽しませていただきました。ありがとうございます。……来年また続きを拝見できるのでしょうか?(笑)
 そちらも楽しみです。(^^;
2008/04/16(Wed)02:31:51 編集
Re:お邪魔します
朱門 優(しゅもん ゆう)
はじめまして、akiさん。コメントありがとうございます。

> 先生、せっかく巧妙に張り巡らされた伏線を回収することなく去ってしまわれたでしょ?

「別の物語になってしまう」以外の伏線は回収した……と思ったんですが、あるぇー?
まあ今だから言ってしまえますけど、実は別口で発表させていただけるというお話をいただいていたのですが、先方の都合でなくなってしまいまして。
「彼女」のお話は中規模なゲームになるくらい長いのです。

> あれからもう4年半なのですねえ……。

もうそんなに経ったんですねぇ。
しかし「彼女」も「彼」も、未だ僕の胸に生きています。
未だ胸を焦がし続けています。

なんて恥ずかしいセリフ!
ですが、こればかりは本心なので、臆面もなく言ってのける書き手でありたいと思っています。

> 今回のこのお話は……やっぱり嘘なんですね?

僕が「嘘」と言ってるのはあくまで……いや、いいか。
好きなようにお楽しみください。

> ともあれ、楽しませていただきました。ありがとうございます。……来年また続きを拝見できるのでしょうか?(笑)

こちらこそありがとうございました。
来年は……なんか、丁度忙しくなってるんじゃないかと……でも、書けたら書きたいなぁ……。
2008/04/16(Wed) 21:54
お邪魔します2
aki
 先生、早速返信いただきましてありがとうございます。返信の後に返信はつなげられないようなので、新たにコメントをつけさせていただきます。……もしまずいようでしたらすみません。


>実は別口で
 ……やはり!(笑)
 いや、そうじゃないかと思っていたのです。
 しかし、そう聞くと余計に残念ですねえ……先生、もう少し待ってくださってたら、ファンディスクも出ましたのに。
 ……って、またまた今さらな繰言を。
 ちなみに私が「伏線」と申しましたのは、もちろん「別の物語」へとつながる伏線のことです。


>未だ胸を焦がし続けています。
>「嘘」と言ってるのはあくまで……
 ……と、いうことは、先生の胸の中にある物語を、いつか拝見させていただける機会もめぐってくるかも、ということでしょうか?
 こればっかりは先生も未知数のことと思いますけど、でもそんな日がいつかくるといいなあ。


 これからまたお忙しくなられるのでしょうか?
 実は4年半前の一本しか、先生の作品は拝見してないので、「応援してます」と言うのもおこがましいのですが……。
 とりあえず、小説の方は楽しみにさせていただきます。

 では。長々と失礼いたしました。
2008/04/17(Thu)02:51:07 編集
Re:お邪魔します2
朱門 優(しゅもん ゆう)
> しかし、そう聞くと余計に残念ですねえ……先生、もう少し待ってくださってたら、ファンディスクも出ましたのに。

ご期待に沿えずすみません。
姫屋は家庭の事情でやむなく退社したもので……まあ、そちらもある程度落ち着きましたので、こうして再び物書きなぞをやらせていただいているわけですが。

> こればっかりは先生も未知数のことと思いますけど、でもそんな日がいつかくるといいなあ。

いいなぁ。

> 実は4年半前の一本しか、先生の作品は拝見してないので、「応援してます」と言うのもおこがましいのですが……。
> とりあえず、小説の方は楽しみにさせていただきます。

いえいえ、ありがとうございます。恐縮です。
小説の方は不慣れなものでいつも以上に醜態をさらしているかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
2008/04/17(Thu) 21:51
無題
Cor
そろそろ小説の発売かと思ってサイトを
拝見させていただきましたら
昨年の続きがあったことに驚きました。
>「誰が見えねえって言ったよ──?」
熱すぎです。
来年も続き楽しみにしてます(笑)。

もちろん、小説とゲームも。

また、お体に気をつけてこれからも
頑張ってください。
2008/05/07(Wed)21:45:11 編集
Re:無題
朱門 優(しゅもん ゆう)
>>「誰が見えねえって言ったよ──?」
>熱すぎです。

「実は見えねえんだけどな──!」
と来年に続きます。

>もちろん、小説とゲームも。
>また、お体に気をつけてこれからも
>頑張ってください。

ありがとうございます。
また、お気遣いいただき感謝感謝です。
2008/05/08(Thu) 22:17
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