僕が引っ越した街は、とても素敵なところです。
『街』とは、住まう人々が作るもの。
そう、きっと住人たちの優しさが、この街を素敵に染め上げているのでしょう。
例えば──
擦れ違い様、酔っている様子もないのに急に大声で軍歌を歌い出される方とか、
信号待ちをしながら延々と般若心経っぽいのを唱えておられる方とか、
ジャージに身を包み、コンビニの前にたむろされているどう見ても四十代の方々とか、
たいへんに個性的な面々でいらっしゃいます。
今日は21:00くらいに電車に乗っていたのですが、とある駅でとてもとても奇妙な動きをしながら乗り込んでこられた中年の紳士がおられまして、
(あーこれが噂に聞く不思議な踊りかー。MP吸われちゃうなー)
とか、非常に適当な事を考えながら現実逃避に務めていたのですが、急に電車が揺れた際、
「俺は飛べる!!」
と、その方は座席に向かってダイブなさっておられました。
僕はたいへん残念な事にたまたま次の駅で降りなくてはならなかったのでその後の事は存じ上げませんが、きっとあれもこの地方に伝わる伝統行事の一環か何かなのでしょう。
そういえば、ウチの祖母が申しておりました。
「東京は怖いところだ」、と。